2021年11月19日 金曜日

クラフトビールと地ビールとの違いは?ビアスタイルとは何か

職人のこだわりが色濃く反映されるクラフトビールには、数多くの種類があります。それぞれの違いを自分で見つける面白さに気づけば、ビールの奥深さにも触れられるでしょう。地ビール・クラフトビール・発泡酒・ビアスタイルなどの意味を解説します。

日本のクラフトビールの始まり

(出典) pexels.com

クラフトビールは、日本でどのように広まっていったのでしょうか。誕生するまでの歴史を見てみましょう。

地ビールの流行と衰退

1994年の酒税法改正により、ビールを醸造する免許の取得条件が大幅に緩和されました。日本全国に小規模醸造所が数多く誕生し、観光地を中心に多種多様なビールが売り出されていきます。

これらの小規模醸造所が造っていたビールは、『地ビール』と呼ばれて人気を集めました。多様性と個性を特徴とした地ビールは、地域を象徴するものとして町おこしの役割も果たします。

しかし、地域の特産物を無理に使用したり醸造技術が伴わなかったりするものも少なくなかったため、品質の悪さを指摘されるようになります。徐々に評判が落ちていき、地ビールは衰退していきました。

こだわりの強いクラフトビールが人気に

2010年ごろになると、小規模醸造所の造るビールが再び注目を集め始めます。特産品の域を超えられなかった地ビールでの反省を生かし、こだわりの強いビールとして販売したのです。

地ビールとの差別化を図るために、名称も『クラフトビール』と名づけられました。豊富な種類や希少価値の高さ、飲みやすさなどが評価され、クラフトビールは全国で人気を集めていきます。

世界有数のビール大国ベルギーのクラフトビール造りと似ている点も、日本で人気が定着した理由の一つです。醸造所のサイズが近い上、職人が少量生産で製品を生み出す点も似ています。

ちなみに、クラフトビールは地方だけで造られているわけではありません。東京にも多くのブルワリーが存在します。

クラフトビールと普通のビールの違いとは

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一般的なビールとクラフトビールの具体的な違いを定義で確認しましょう。日本で有名な商品も紹介します。

クラフトビールの定義

クラフトビールの定義は明確に定められていませんが、craftという英語が技術・工芸・職人技などを意味することからわかるように、『小規模な醸造所が丁寧に造る個性的で多様なビール』と捉えるのが一般的です。

具体的には以下に挙げるような条件を満たすものを指します。

  • 1994年の酒税法改正以降に造られている
  • 大手メーカーから独立したビール造りを行っている
  • 1回の仕込み単位が20kl以下の小規模な仕込みで造られている
  • ブルワー(醸造家)の目が届く範囲で醸造されている
  • 伝統的な製法や地域の特産物を用いている

ただし、近年は大手メーカーが市場に参入したり、伝統的な製法を採用したりする動きもみられます。地域色の強さや独自性だけでは分類できなくなっているのが実情です。

日本のクラフトビールの例

日本国内で広く知られている代表的なクラフトビールを覚えておきましょう。『よなよなエール』と『THE軽井沢ビール(クリア)』の二つが有名です。

よなよなエールは、エールビール専門の醸造所で、厳選された素材を使用して造られています。柑橘系のフレッシュな香りとモルトのやさしい甘みが特徴です。

後味のキレと爽快感が特徴的なTHE軽井沢ビール(クリア)は、何杯でも飲めるおいしさを実現しています。アロマホップの香りが楽しめる、口当たりのやさしいビールです。

「よなよなエール」公式サイト

「THE軽井沢ビール(クリア)」公式サイト

クラフトビールはビール?発泡酒?

(出典) pexels.com

クラフトビールの税法上の分類について解説します。ビールと発泡酒の違いや、表記に関する法律を知っておきましょう。

基本の原料はビールも発泡酒も同じ

ビール造りに必要な基本の原料は、麦芽・ホップ・酵母・水です。発泡酒にも、基本的にビールと同じものを使用します。

原料の量や発酵時間などを調節することで、ビール・発泡酒の味わいやアルコール度数に違いが生まれます。

クラフトビールの味を左右する重要な原料がホップです。ホップを投入するタイミングの違いにより、苦味や香りに違いが生まれます。ホップの扱いを含め、オリジナルレシピにより個性を出している点が、クラフトビールの大きな特徴です。

ビール・発泡酒の表記に関する法律

酒税法におけるビールとは、麦芽の使用比率が50%以上のものを指します。副原料も指定されたものしか使用できません。

一方、麦芽の使用比率が50%未満のものは発泡酒に分類されます。麦芽比率が50%以上でも、副原料の使用量が麦芽比5%以上のものや、ビールで使用できない副原料を使ったものは発泡酒です。

酒税法の分類上、発泡酒に該当するものは、クラフトビールでも発泡酒と表記されます。発泡酒は麦芽比率が低いほど酒税額が安くなるため、優れた品質の商品であっても、安価で買い求められるものがあります。

参考:ビール・発泡酒に関するもの|国税庁

ラガーとエールの違いとは

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クラフトビールの理解を深めるためには、ラガーとエールの違いを知っておくことが大切です。さらに細かく分類したビアスタイルについても解説します。

発酵方法が異なる

ビールの種類は、発酵方法により『ラガー』と『エール』の二つに大別されます。ラガー酵母(下面発酵酵母)で造るのがラガー、エール酵母(上面発酵酵母)で造るのがエールです。

すっきりとした飲みやすさが特徴のラガーは、苦味とキレのバランスが整っており、のど越しを楽しみながらゴクゴクと飲めます。日本国内に流通するほとんどのビールはラガーです。

一方、麦の香りを抑えたエールは、ホップの豊かな香りと深い味わいを特徴としています。料理に合わせて選ぶ楽しみがあるほか、ビールを単体で味わえることも魅力です。クラフトビールのブルワリーでは、数多くのエールが造られています。

色やビアスタイルなどでさらに分類

ラガーとエールは、色やビアスタイルにより、さらに細かく分類されます。ビアスタイルとは、原料や醸造方法の違いによるビールの種類です。

主なビアスタイルはラガーとエールで異なります。ラガーを代表するビアスタイルは、淡色でホップの効いた『ピルスナー』です。エールのビアスタイルとしては、フレッシュな香りが特徴的な『ペールエール』が広く知られています。

世界には100種類を超えるビアスタイルがあるとされています。自分の好みを把握したい場合は、ビアスタイルごとの特徴を理解した上で、好きなビアスタイルを知っておくことが重要です。

まとめ

地ビールの流行と衰退を経て、こだわりの強いビールとして再び人気を集めているのがクラフトビールです。地ビールと同様、醸造場が小規模であることや地域色が強いなどの特徴を持っています。

クラフトビールの中には、原料の違いにより発泡酒に分類されるものもあります。ラガーとエールの違いやビアスタイルの種類についても、理解を深めておきましょう。

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